まえおき
前回の再販ランクル70中古車市場動向調査は2023年1月。
半年経過して市場はどうなったのか、状況調査を行った。
※ここで取り上げるランクル70は、2014年に国内再販された、再販ランクル70、復刻ランクル70などと呼ばれる車。(GRJ76K及びGRJ79K )
中古車マーケットはコロナ禍の半導体不足などによる新車の納期遅れで全体的に高騰していたが、ここに来て落ち着きを取り戻し、全体的に下落傾向。
再販ランクル70中古車は、それに加えて再再販待ちの動きもあってかバンを中心に長く続いた高値水準からの下落傾向がみられたが、半年経過してどうなったか興味深いところ。
調査結果
○前提条件等
★価格は車両本体価格(諸費用含まず)
★第1回、第2回調査時は450万円以上のものは特殊事情による異常値と判断して除外(→前回3件、前々回6件を除外。)していたが、第3回調査以降は異常値とするには台数が多いため除外せず。ただし、今回は750万円の1台は異常値として除外した。
★今回も中古車在庫はグーネットにあるものが全てという前提を置いての定点観測。個人売買など、掲載されていないものは当然漏れているので悪しからず。また、価格が「ASK」となっているものも除外している。
在庫台数
まずは在庫台数を見ていく。
再販ランクル70全体での中古車在庫台数は、前回の72台から79台と大きな変動はない。
新車販売された台数が約7000台なので、概ね1%が中古車市場に出ている状況。
総台数は変動していないが、日々中古車のラインナップを見ていると300万円台の車はそれなりに入れ替わっている。
やはり長く続いた450~500万円でしか買えない状況から、300万円台でもある程度よい車が買える状況になったことで、底値が近いと判断して購入に動いている人が相当数いるのだろう。
前回調査時点では再再販待ちによる買い控えで在庫は増加すると予想していたがこれは外れだった。
平均価格
続いて再販ランクル70中古車在庫の平均価格。
販売価格は前回よりさらに下落幅を大きくした。
- バン(GRJ76K) 436万円▼7.3%
- ピックアップ(GRJ79K)453万円▼1.3%
- 全体平均 437万円▼約6.7%
2021年12月ピーク時の495万円と比較すると、約12%下落し、2020年12月の平均価格まで戻ってきた感じ。
[参考 低価格5台]※本日時点で当方が確認した情報を掲載していますが、掲載元と異なっている場合は、掲載元の情報が正確ですので、ご自身でご確認ください。
なお、450万円以上の高価格帯を中心に、6か月前の前回調査から売れ残っている車が31台もある。
そのうち12台は前回から価格据え置き、他は値下げしたが値下げ幅が小さく、500万円近いなど、まだ高止まり感ある価格。
今後は、下限水準は大きく変わらないものの、高値止まりしている在庫の価格是正(→350~450万円?)が進むことで、平均価格としてはもう一段下落し、400万円程度になる可能性があると予想する。
平均走行距離
そして再販ランクル70在庫車の平均走行距離。
走行距離は不思議とあまり増えてこない。
そして、注目すべきは在庫車のうち約62%(49台)が5万キロ未満という点。
3万キロ未満も16台もある。
ライトユーザーほど買い替えサイクルが早いということか?
ランクルは10万キロで慣らし運転終了などと言われることもあるが、やはり中古購入する際に5万キロ、10万キロというのは意識される数字。
販売終了から10年経過して、まだ5万キロ未満の車を買えるのならそれは一般的には好条件と捉えてよいはず。
ちなみに、新車時の再販ランクル70の販売価格は、標準的なオプション設定と一定の値引きなどを踏まえて330〜400万円程度(諸費用込350〜420万円程度)だったと思われる。
こちらは毎回記載する内容だが、あえて、今の相場で中古車を買うことを正当化することを試みるとすると、以下のような考え方があるだろう。
走行距離が4~5万キロのランクル70はまだまだ慣らし運転といっていい水準で車としての劣化(実際上の減価)はほとんどない(と無理やり思い込む。)。 2014年にランクル70を新車で購入し、約9 年間、普通にナンバーをつけて維持すれば、135万円(少なく見て15万/年×9年)ほどの維持費がかかるので、再販当時、380万円で購入して今まで維持するのには、車両代込みで少なくとも515万円ほどが必要となる。 そうならば、今、譲り受ける車が515万円ほどであっても仕方ない。 その間に走って楽しんだ分は、適度な慣らし走行と手間賃と思えばいいので、今の相場で買うのは、特段大きな損をしているわけではないだろう。 |
年数が経つほど高価格になるという、常識では受け入れられない考え方だが、ランクル70ならではの考え方と受け止め、気持ちよく中古車を購入していただければ幸い。
価格帯別在庫台数
次に価格帯別にどの程度の数の再販ランクル70中古車が販売されているかを見ていくことにする。
2019年調査時の200万円台9台は夢の国レベルで、もう200万円台をみることはないかと思っていた。
しかし、今回、久々に200万円台の車が登場(デフロック無しの個体で徐々に値下げしてきて、ついに200万円台に突入)。
最大のボリュームゾーンは401万円~450万円。
前回の451万円~500万円からは1段階下がり、2020年12月に近いバランスになってきている。
300万円台前半はまだ少ないが、このレンジはもう少し増えて、いずれは最大ボリュームゾーンになると予想する。
なお、前回、300万円代に並ぶのは走行距離が10万キロ程度の「いかにも」な車が大半を占めていたが、今回は3万キロ~11万キロまで幅広い走行距離の車が並んでいる。
上にも書いたが、高価格帯で価格を維持しているショップと値下げしているショップの2極化が進んでいて、広い価格帯に分散している。
また新車供給がストップするような事態や、再再販がなくなるといった事態が生じない限り、いずれ下のレンジに近づいてくると考えるのが自然だろう。
都道府県別在庫台数
続いて都道府県別の再販ランクル70在庫台数を見ていく。
今回は埼玉、千葉が大幅増で上位にランクイン。
埼玉は特定の販売店が大きく貢献した結果となっている。
常に上位争いをしてきた愛知県が順位を下げたのはトヨタお膝元で再再販の情報に敏感だから?というのは考えすぎか。
販売店シェア
最後に販売店のシェアを見ておきたい。
前回、在庫を大きく減らしていたSUV LANDが1位に返り咲き。
それをフレックス、カーミニークなどが追う状況。
注目すべきは在庫の平均価格の違い。
一番高いのはフレックスの490万円。繰り返し書いている高価格帯で高値キープしているうちの代表格。
このフレックスに対して、150万円近く安い約360万円の平均価格となっているのがグッドスピード。
売れないとドンドン値下げして回転させているため、仕入れ価格も下がっているのだろう。
フレックスは以前から比較的価格を見直さない印象だが、さすがに今の価格帯を維持するのは厳しい印象。
ここが価格を見直すと平均価格へのインパクトもそれなりにあるので、今後の動きに注目したい。
ちなみに、毎回書いているが、中古車情報の中でデフロック有無が分かりにくいものが多い。
- オプション装備としてデフロック明記があるもの
- オプション装備に記載はないが画像にスイッチが映っているもの。
- 画像にスイッチ位置が映っていないため有無が断定できないケース(運転席ハンドル付近を助手席側から撮影した画像)
これらの3ケースがある。
ランクル70を買うのなら、デフロックはあった方がよいと個人的には思うので、オフロード走行するしないに関わらず、事前に確認をおすすめしたい。

まとめ
さて、今回は前回に続いて下落傾向が鮮明となった。
繰り返しになるが、高値維持している在庫の価格是正が進めば、もう一段、平均価格が下がることはあるだろう。
しかし、底なし沼というわけではなく、300~400万円あたりがボリュームゾーンとなる程度が底ではないかと予想する。
比較的買いやすい価格で走行距離も5万キロ程度という車も増えてきている。
購入検討中の人には良い状況になってきいている気がする。
オーナーの一人として、リセールバリュー下落が嬉しい訳ではない。
しかし、売る予定がないので寂しくもない(売らざるを得ない状況になることはあり得るので、半値になるのは好ましくないが)。
それよりは、なぜか分からないが、今、ランクル70に乗りたくなった人が、新車時を大きく上回る価格でなければ買えないような状況が解消されてほしい。
更には自分が事故で車を失ったときに、保険金(+少ない持ち出し)で代わりの車を手に入れられる状況でもあってほしい。
引き続き半年に1回程度調査を継続していくつもりだが、この先の動向が楽しみだ。
前回も最後に述べたが、再販ランクル70の盗難の話は今までほとんど聞いたことがないものの、価格高騰、希少化が進むと、今後発生する可能性もあるので、皆さん注意されたし。