まえおき
ほぼ半年毎に実施している再販ランクル70中古車市場動向調査も今回で10回目となった。
※ここで取り上げるランクル70は、2014年に国内再販された、再販ランクル70、復刻ランクル70などと呼ばれる車。(GRJ76K及びGRJ79K )
再販ランクル70中古車価格はこれまで、社会情勢などの影響を受けて上下動を繰り返してきているが、前回(2023年12月調査)では、再再販ランクル70の仕様確定(MTなし)、供給見込みの厳しさ、を受けた駆け込み需要増の影響(だと当方は思い込んでいる)により、上昇に転じていた。
その後、半年経過してどうなったか興味深いところ。
ちなみに、価格高騰でウヒャウヒャしたいオーナーさんには理解し難いかもしれないが、当方は、売る可能性は低く、どちらかというと、もし事故ったときの買い替えのこともあるし、もう一台欲しいと思ったときに、新車時よりあまり高いのは辛いので、価格高騰は基本的にネガティブなものとして捉えている。その点、ウヒャ派には読んでいて違和感があるかもしれないけれど、悪しからず。
なお、当研究所独自の再販ランクル70個人売買マッチングにも現在4台の中古車「売ります」情報が掲載されているので、購入検討中の方は、そちらもご覧あれ。
調査結果
○前提条件等
★価格は今回から、諸費用込みの支払総額を採用。前回までは車両本体価格としていたため、10~15万円程度は諸費用による増額が含まれている点に注意が必要。
★異常値と思われる高値の車両は当方の判断で除外。また、価格が「ASK」となっているものも除外。
★調査対象はグーネットにある車。個人売買など、掲載されていないものは当然漏れているので悪しからず。
在庫台数
まずは在庫台数を見ていく。
再販ランクル70全体での中古車在庫台数は、前回の43台から80台へと倍増。
この台数は、約1年前と同程度。
台数自体は過去の推移から見ても異常値とは言えないが、次に示す価格と併せてみると、これまでにない状況が見て取れる。
平均価格
続いて再販ランクル70中古車在庫の平均価格。
前回調査時、わずかに上昇に転じていたものの、ピックアップの価格上昇に牽引されていて、バンはほぼ横ばいだった。
しかし、今回は、バンの価格も100万円(諸費用分を考慮しても)程度上昇しており、全体でも同程度の上昇。
ピックアップは前回に続き異次元の上昇を継続中。
前回に続き、今回も価格が100万円以上高騰している。
一台、990万円台という高額車もあり、以前なら調査対象から除外していたのだが、こりゃ、そのうち売れることもあるかも、ということで今回は除外せず。
もちろん、売出価格と成約価格は別物。
この全体的な価格高騰の影響で、需要が追い付いてこないからこそ、在庫が増加し、ダブついている面もあると思われる。
このまま在庫がダブついてくるようならば、価格見直しペースの早いSUV LANDなどが下限値を押し下げてくれる可能性はあるが、300万円台前半なんて言う車が登場するのは、当面は難しいのかもしれない・・・
ちなみに、新車時の再販ランクル70の販売価格は、標準的なオプション、諸費用と、一定の値引きなどを踏まえ、350〜420万円程度だったと思われる。
平均走行距離
続いて再販ランクル70在庫車の平均走行距離。
バンの走行距離はゆっくりながら着実に伸びてきている。
2014年から10年経過し、全体平均はようやく5万キロ。
約半数の44台が5万キロ未満、ピックアップに限ると、走行距離はむしろ下がっていて、平均が2.8万キロ台となっている。
さらに言えば、ピックアップは12台中、4台が1万キロ未満。この走行距離がまた、ピックアップの価格を押し上げる要因ともなっている。
なお、全体的に走行距離が少ない傾向があるが故に、10万キロを超える車両の販売価格が、300万円台など、かなり思い切った低めの価格に設定されるケースが散見される。
10万キロ程度で大きな問題を抱える車は少ないであろうランクル70だけに、少しでも安い車を探す場合は、狙い目になる気がする。
価格帯別在庫台数
次に価格帯別にどの程度の数の再販ランクル70中古車が販売されているかを見ていく。
今回集計していてショッキングだったのはこちらのデータ。
200、300万円台はおろか、450万円以下の車でさえ、わずか2台。
最大のボリュームゾーンは前回の450万円から500万円のレンジから、500万円超のレンジに移動している。80台中、70台近くがこのレンジという、恐ろしい状況。
感覚的に、バンに限れば、さすがに再再販ランクル70の新車価格(500万円台中盤)以上では、よほどの思いがないと購入しないのではないかと思うので、これ以上の上昇はないと思うが・・・
ランクル250が、あまりランクル70信奉者の受け皿にはなっていなそうな現状からすると、ランクル70に対する渇望感は増加することはあっても減ることはなさそうなこの状況、もしかすると、大きく相場が下がってくることはないのかもしれない・・・
都道府県別在庫台数
続いて都道府県別の再販ランクル70在庫台数を見ていく。
今回は前回の1位、福岡県が6位(5台)に下落。
変わって、1位に躍り出たのは千葉県。この躍進には、次に示す販売店のうち、SUV LANDが大きく貢献。
販売店シェア
最後に販売店のシェアを見ておきたい。
ランクル業界では色々な場面で存在感を増しつつある、フレックスが1位となった。
これまでの調査では、FLEX、FLEXドリームなどの、いわゆるランクル中古車界の大御所は高めの価格設定、その他は、一段低めの価格設定という印象だったのだが、今回は、約半数を占めるこれらの販売店が、ほぼ横並びの価格設定をしている点が特徴的。
大手は高値を維持し続け、SUV LANDなどが元々の低めの価格帯から、更に値下げすることで相場の変動(下落)が起こっていただけに、この状況は、少しでも安く買いたいと願う人にとっては憂うべき事態のような気がする。
まとめ
さて、今回は前回の価格上昇開始の流れを受け継ぎ、加速したような恰好となっていることが確認できてしまった。
ランドクルーザー、ランドクルーザー70、というブランドが益々力強さをましつつ、世界に浸透している証であり、1人のオーナーとして喜ぶべきことなのかもしれない。
しかし、先にも書いたが、一度、自分が今持っているランクル70を事故などで失えば、保険金ではとても賄えないような価格になっていることは望ましくない。
また、希少性に着目した投機の対象になってしまうのも、資本主義社会では仕方ないこととはいえ、残念な気もする。自分が経済的な強者側にいれば、そんなこと全く感じないのだろうけれど・・・
ただ、少し前までは、トヨタは国内供給を絞って円安時代に儲かる海外販売に比重を置いていて、つれないなぁ、という思いが強かったのだが、最近、タイに滞在していて、走る車を見ていたら、少し違う心境になってきた。
タイの路上では瞬きする間に数台といっても過言ではないほどのハイラックスなどのピックアップを目にする。
日本の軽トラ、商業用バンの役割をほぼハイラックスなどのピックアップが果たしているといっても過言ではないほどの状況だ。
販売価格も200万円台からで、タイで製造していることもあり、供給も問題なさそうだ。
ピックアップの荷台が、日本でみる車体のように、そのままになっているケースはほぼなく、様々に架装されて、物資や人の輸送に大活躍している。
オシャレやレジャーキャンプのためではなく、まさに人々の生活のための実需に応える車として、製造、販売、活用されている。
そんな様子を日々見ていると、なんとなく、ランクル70の国内供給が少ないのは、トヨタが儲かる、儲からないだけの話ではなく、必然なのかなという気がしてきた今日この頃、という訳だ。
そういう観点で考えると、今後も無骨で頑丈でローテクで過酷な環境に耐えられることが売りのランクル70が、実需ニーズの細い日本市場に大量供給されることは、まずないだろうと今更ながら理解できる。
その結果、数少ないタマを嗜好品として奪い合うことになり、価格が高騰するという状況もまた、解消されることはないのかもしれない、と・・・
今更なのかもしれないが、そんなことに気が付き、ションボリしつつ、今回の調査結果の発表を終えることとしたい。
引き続き半年に1回程度調査を継続していくつもりだ。
この先の動向も楽しみだ。
今年の群馬パーツショーで販売したベージュGRJ76中古車70周年グリル、ライトついて他ほぼノーマルで 5.8万km 387万円でしたが初日開幕5分位で商談中となり1時間しないうちにご成約にはなってました
やまさん
さすがにその値段だと今なら、即売れるでしょうね。
10年経って新車価格とほぼ同じですね・・・