ランクル70大人気。でもそれ、いつまで続く?

まえおき


2023年11月に満を持して再再販されたランクル70(GDJ76W)の人気はいまなお絶好調。

最近は納車が進み、街を走れば“武骨な四駆”を目にする機会も増えてきた。

オーダーストップ状態だが、まだまだ納車待ちの長い列に多くの人が並んでいる。

そんな状況もあり、中古市場では在庫こそ増えつつあるものの、まだまだ新車以上の価格が当たり前。

SNSにはピカピカのランクル70とシャレオツキャンパーのコラボ写真や、ハイセンスな若者の撮影した映える写真が溢れかえる。(自分が検索して、長々と眺めるからドンドンお勧めされる結果なのだが・・・)

ネットニュースでも同じような内容を、角度を変えて書いたランクル70アゲアゲ記事がたくさんヒットする。(このサイトも似たようなものだが・・・)

そんな状況は、「ランクル70バブル」のように見えなくもない。

そんな今だからこそ、天邪鬼な自分的には「そのブーム、ずっと続くと思いますか?」と言ってみたくなる。(株ならヤフコメでこの手のコメントする人は空売りしてるか、安く書いたい人なので、意図はバレバレだが・・・)

そんなわけで、多くの人の神経を逆なでするであろう記事を書いてみることにした。

妄想記事なので、さしたる根拠なし。ご自身の考えや予想と違っても、興奮せず、「素人の戯言」として無視していただければ幸い。一時的ブームなんかじゃない!!ランクル70の実力だ!!と思ってる方、いいんですよ、それで。ド素人の私なんぞより、あなたのほうが正しいですから!

2014年の再販は7,000台で息切れ


さて、皆様ご存じのとおり、我らがランクル70の復活は今回が2度目。

2014年にも一度、国内向けに1年間の期間限定(台数制限は無かった)で再販されており、最後は、あまり惜しまれる事もなく約7,000台を販売して終了した。(自分は多いに惜しんだけれど)

国内初投入のピックアップ(GRJ79K)と扱いやすいセミロングのバン(GRJ76K)が盛大なイベントとともにリリースされ、最初こそ大いに盛り上がったものの、終盤には在庫の値引き販売が行われるなど、寂しさすら漂う、今からは想像のつかない状況だった。

ディーゼル規制などの影響(需要も相当少なかった)で、2004年に国内販売を終えてから、10年の時を経ての、待望のランクル70再販だった。

それでも、結局「マニアックな欲しい人には行き渡った」だけで、それ以上の広がりは殆ど無かった印象だった。

もちろん、ディーゼル、丸目への由緒正しきこだわりを貫徹したマニアは、ランクル70もどきとしてスルーしたはずで、潜在的なランクル70ファンはもっといたと思われるが。

再再販はなぜヒートアップ?


さて、その再販ランクル70販売終了から、さらに10年が経ち、再び沈黙を破って国内再投入されたのが、2023年11月発売の再再販ランクル70(GDJ76W)。

今回は「カタログモデルで継続販売」という点で前回と大きく状況が異なるほか、以下の点が主な違い。

  • 丸目ヘッドライト
  • 独立フェンダーを彷彿とさせるフロントシェイプ顔
  • 2.8Lディーゼルターボエンジン
  • オートマのみ
  • トヨタセーフティセンス搭載

そんな10年ぶりの再復活はメディアにも大きく取り上げられ、話題性も大きく、購入希望者が殺到している。

自分も含め、上客以外はナンチャッテ抽選(公正な抽選も存在したようだが)に列をなし、残クレ、高級コーティングなどの厳しい条件をもろともせず有難く予約。

そして、納車待ちは1年以上もザラという、まさに人気がヒートアップが継続している状況。

ランクル70の月間生産目標が400台らしいので、2023年11月からの予約受付開始で2年分が販売されたと仮定すると、約1万台。

既に2014年の再販ランクル70を大きく上回る台数が販売されたことになる。

ネットでは既に再販ランクル70の7000台に迫る6000台が納車されたという書き込みもみたことがある。

ヒーコラ言いながら7000台を販売した2014年の再販ランクル70の時と、なぜこんなにも状況が違うのか。

まずは再販ランクル70はMTのみだったが、今回はATのみという点があるかもしれない。

自分含めマニアックにMTを好む人々がいる一方で、2009年には新規に免許を取得する人の半数以上がオートマ限定だったらしく、また、マニュアルの免許を持っていても長く運転していない人も多かったと推測される。

これが決定的に購入者を絞り込む要因になった可能性は高い。

そして、マニアックなMT好きより、オートマ限定免許を持ち、ランクル70が欲しいと思う人の数のほうが圧倒的に多いであろうことも容易に想像でき、今回のヒートアップの一因になっている可能性は高い。

もう一つは、ランクル70乗りの中でも待望論の多かったディーゼルエンジンと丸目という2大巨頭の復活だ。

もちろん、初代ランクル70のそれをそのまま復活とはいかないが、トヨタ渾身のファンに寄り添ったデザインは、再販ランクル70のガソリン、角目よりは「はるかにマシ」と評価されたに違いない。

再販ランクル70購入を見送り、今回購入に踏み切った人も相当数いる可能性がある。

とまぁ、ここまでの理由ならば、ヒートアップというよりは、潜在需要が顕在化しただけ、という印象だ。

それだけなら、今回の記事を書こうという気にはならなかっただろう。

気になるもう一つの理由が、いわゆる「ブーム」的な盛り上がりだ。

当研究所のテーマの一つとして調査を続けている再販ランクル70の中古車相場だが、このデータを示す。

中古車の台数は2018年頃から増減しながらも横ばいで推移してきた。

それに対し、価格は2019年6月を境に急上昇。

2023年、再再販の需給ひっ迫が話題になると再度急上昇するが、注目すべきは2019年6月の急上昇だ。

当時は、コロナの影響で半導体不足が発生し、中古車相場全体が押し上げられたので、その影響もあっただろう。

しかし、私見では、ランクル70に関してはもう一つ大きな要因があったのではないかと思う。

それは、コロナ禍に急拡大したオートキャンプなどのアウトドアブーム。

出典:https://www.autocamp.or.jp/post-19022/

小さくて見えにくいが、登山、キャンプ用品の市場規模が2019年から2022年にかけて急拡大。

本屋に行けばスノーピークやら何やら、オシャレで高価なキャンプグッズでキメた若者たちが、顔面改造されたランクル80、100、プラドで意気揚々とキャンプする姿をいくらでも見られる状況になっていったのもこの頃からだろう。

それが良いの、悪いのではない。

自分だって恥を忍んで言えば、若いころは、やれ「紺ブレ」、「デカ襟」、「エンジニアブーツ」などと流行を追いかけて楽しんだものだ。

ただ、今、気になるのは、その紺ブレ、デカ襟シャツ、エンジニアブーツ、その後どうなりましたか?ってこと。

ついでに自分の子供に言わせてもらえば、その鬼滅グッズ、プラレール、プリキュアグッズ、どうするんですか?ってこと。

ゴチャゴチャと書いたけれど、要は「一時的なブームじゃね?」ってだけだ。

供給が増えれば「中古だらけ」は当然


私のようなド素人が偉そうに言うまでもなく、カタログモデルとして最低でも月400台が継続生産されれば、供給は日を追うごとに、どんどん増える。

5年後には、400台/月×60か月=24000台。10年続けば約50,000台ものランクル70が供給されることになる。(もちろん需要がなければ供給量も絞られるので、単純にそうはならないが)

2014年当時、台数制限なしの期間限定で7000台しか売れなかったランクル70に、加熱無くしてそれほどの需要があるのだろうか?

当然、(ありがたい事に)中古車市場にも多くの新車さながらの低走行車が出回ることになる。

現時点で、価格こそ新車価格を大きく上回っているが、在庫台数も既に再販ランクル70を上回っている。

キャンプブームと同じパターン?


先にも書いたように、2019年のコロナ以降、大いに盛り上がったキャンプブーム。

お洒落アウトドアギアを揃え、焚き火台を買い、キャンプサイトでリビングさながら棚に家財道具を並べてSNSで映える写真を投稿……。

しかし今や、そのギアの多くはメルカリや倉庫の中に(ブーム前と現在を比較するデータなどのエビデンス一切なしの妄想)。

あれだけの熱狂も、落ち着けば「ただのモノ」になる。

「モノ」の価値に着目して買っているのであって、ブームで買ったのではない、と断言できる立派な人もいて結構だし、それを否定するつもりはない。

でも今、キャンプ用品に起こっていることと同じことが、ランクル70で起こらないと、言い切れるのだろうか?

冷静になれば、ヨンクであるほうが良いということはあっても、ランクル70でなければ行けないキャンプ場はほとんどない。

ファミリー向けではないと言われる乗り心地と、チープな内装。そして高い維持費。

再販ランクル70よりマシとはいえ、高級感とは程遠い内装
乗り心地改善のために採用されて新しいリーフスプリングだが・・・

自分がランクル70好きでなければ、スバルのフォレスターのほうが、よほどキャンプに向いている気がする。

本気で使い倒す人以外には不向き?


ここまでゴチャゴチャ書いてきたが、決して「ランクル70本来の能力を生かしてガチで使い倒す人以外は買うべきではない」とか、「ランクル70は山道、悪路、長距離の走行に耐える“道具”であって、オシャレ道具ではない」などとランクル70教の教祖の様なことを言うつもりは毛頭ない。

欲しいと思って買える恵まれた人は一時的好奇心だろうが、興味本位だろうが買えばいいし、買って嫌なら売ればいいと心底思っている。それができる人が羨ましい限り。

この記事を書いたのは、そんなことを言いたいからではない。

中古価格は下がる?今後の動向に注目


今は確かにランクル70ブームの最中にある。

ブームの最中にある時は、そこがブームの中であると分からない、またはその終わりが来ることを想像できないものだ。

うちの子供にも鬼滅の刃グッズにいずれ興味がなくなるぞ、と口を酸っぱくして言ったが、聞き入れられず・・・

  • カタログモデルで生産が数年単位で継続される
  • 納車が進むにつれて中古車が増えてくる
  • ブームで購入して飽きたユーザーが手放し始める(おそらく初回車検前)

普通に考えると、この流れになるのが自然で、中古相場は必ず落ち着いてくるはずだと、ド素人は予想する。相場が下がり始めれば、興味半分に買った人が慌てて手放すケースも増えるに違いない。

予想して外れてもお咎めはないが、当たると神聖化されることがあるようなので、この際、思い切って予想しておこう。

今、この記事を書いている2025年5月時点では最も安い中古車が700万円台前半だが、初回車検が迫る納車3年後の2026年後半になれば、相当数の中古車在庫が積み上がり、新車価格を若干下回るものも多くなってくるのではないだろうか。(下限値予想は10万キロ越え個体で総額450万円)

おそらくだが、2014年発売の再販ランクル70との価格差も相当縮むのではないかと思う。

まとめ:ランクル70は“買い”?“待ち”?


これが言いたくて書いたわけではないが、ここまでゴチャゴチャ書いたことの結論としては、これが自然な流れのような気がするので、妄想ついでに書いてみよう。

少なくとも、今のランクル70ブームには、そろそろ冷静な視点が必要になってくるだろう。

最近、インスタで「この車に一生乗ります!!」と書くプラド乗りに対して、「自分はそんな覚悟がない」と皮肉を書いている人を見た。

そういう事言う人に限ってすぐに乗り換えたりするんだよなぁ~、的な皮肉まじりと推測される。なんとなく気持ちは分かる。

まさに「熱しやすく冷めやすい」人(かつ、経済的に無理して買う人)は一度冷静になってもよいのかもしれない。

冷静にならないから「熱しやすく冷めやすい人」なのだろうから、無理難題を言ってるのかもしれないが・・・

あとは、転売狙いの人は、今からエントリーするのはやめておいたほうが無難な気がする。損しないかもしれないが、利ザヤは微々たるものになってくる可能性がある。

(もちろん経済的に余裕がある人は、いつ買おうが売ろうがお好きにどうぞ。羨ましい限りです。)

とまぁ、グダグダと締まりなく偉そうに色々書いてきたが、結論的に「冷静になって」と訴えることにより買う人が1人でも減ってくれれば、中古車相場が下がり、または新車がダブついて自分が買える機会が増えるかもしれないので、書く甲斐のある記事だったな、と最後に納得。

このどうしようもない記事をここまで読んでいただい方に心から感謝。


「ランクル70大人気。でもそれ、いつまで続く?」への1件のフィードバック

  1. 本当にその通りですね。
    車で一儲けしてやろうっていうセコイ奴が増えたせいで
    本来欲しい人に渡らず市場に溢れて価値まで下がってしまうのはなんというか困った事です。

    ただこの70、トヨタ的には利益の大きい250と、出ると言われているランクルFJを売るための客寄せパンダ(ランクルブランドのイメージを上げる為の)だと思うのですよね。
    なので本当にダラダラと何年も売るとは思えない。

    ただ前回の再販時は規制の関係で売れる間に売るという事でしたが、今回は規制をクリアする為に色々と変えて来ているのでその開発費を回収するまでは売るのかな?とも思います。

    何が言いたいのかわからなくなってしまいましたが、結局のところ本当に欲しい人のところに届くのが良いという事です。

    長々と失礼しました。

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