KONIショックアブソーバーのネジ山復元(肉盛溶接→ダイスねじ切り)

経緯

以前、KONIのショックアブソーバーをヤフオクで仕入れて交換しようとした際、うっかり3インチアップ用を落札してしまい、フロント用が装着できないというミスを冒してしまっていた。

仕方なくフロントだけ新品(KONI HeavyTrack ランドクルーザー GRJ76K GRJ79K 2インチアップ車用)をショップでオーダーしてみるけれど、納期未定とのこと。

こりゃ困ったなぁ、と思っていたところに神が降臨。

ランクル70バン(GRJ76 K ホワイト)オーナーのymsさんが装着していた走行数千キロのコニのショックアブソーバーが、ディーラーの作業ミスで下側のネジ山をナメてしまったらしく、交換してもらうことになり、ダメになった2インチUP用のショックアブソーバーが手元にあるとのこと。

ymsさんが、補修して使うなら、と言ってくれたので、補修できるのかわからないけれど、こんなチャンスは滅多にないので、図々しくも譲り受けることにした。

修理方法

さて、ショックアブソーバーの状態をみると、よくもまぁ、ここまでやったもんだと感心するほどズルズル。

もはやダイスで修正なんてレベルではない。

そもそも、それで済むようならここには無いだろうけど。

どうやって治すか?

自分に出来るのはワンサイズ小さいナットに変更すべく、ダイスでネジ山を作ることくらい。

しかし、DIY 部会長の↑矢印さんに相談したところ、強度が落ちるので細くするのは止めたほうがいいとのこと。

肉盛溶接して、本来のサイズでネジ山を作るのがベターとのこと。

それでも、溶接時の熱で多少の強度低下は避けられないとも。

なるほど、思ったより困難な状況にあることが分かったが、何とか肉盛でやってみることにした。

さて、いくら何でも肉盛溶接なんて初耳の自分にはDIYできない。

これは専門業者さんにお願いするしかないが、アテもなければ予算も見当がつかないなぁ、と遠い目をしてたら・・・

なんと!!

↑矢印さんが、溶接技術をお持ちで、やってみてくれるとの事。

はい、ここにも神、発見しました。

※イメージ画像

さすがはDIY部会長、というか、こりゃDIYなんてレベルじゃなくて、お仕事レベルなんでしょう・・・有り難すぎる。

そんな訳で、ここでも図々しく、↑矢印さんに肉盛溶接をお願いすることに。

そして、自分はというと、ダイスを購入して、ネジ山を作るだけという幸運に恵まれてしまった。

修理作業

修理作業といっても、最も重要なプロセス、肉盛溶接は↑矢印さんまかせ。

ブツを預けてから、僅か1週間ほどで処置して送って下さり、手元に到着。

神からの贈り物を、早速確認すると、完璧に肉盛された上、磨き上げられてピカピカ。

↑矢印さんから教えていただいた作業内容など

・ねじ部の曲がりを少なくするため対角に8等分で溶接

・1本(8等分のうち)溶接する度にエアー冷却

・グラインダーで丸みを出して仕上げ

・ダイスの溝がかかりやすくなるよう、先細仕上げ

・鉄が溶接の熱の影響で若干柔らかくなっている可能性があるため、サスが動く走行をした後、ねじ部要チェック

素晴らしすぎる!職人レベル。

そして、今回の唯一の自分のDIY作業。

ダイス(スレッドマスター六角ダイス M12×1.25mm 六角サイズ24mm )での作業に取り掛かる。

ヘッポコ作業で↑矢印さんの作業を台無しにしてはならないという重圧がのしかかる・・・

例によってネットで調べると失敗例ばかりが出てくる。

どうせなら図々しくネジ山作りまで頼んだほうが良かったか、などと意味不明に図々しさが暴走しそうになるのをこらえて作業に着手。

見たこともやったこともない作業なので、ブツを前に試行錯誤すること1時間ほど。

ようやくこれしかないという方法に至り作業開始。

まずは用意したダイスを万力に固定。

六角タイプなので、しっかり固定できる。

上からネジ山を作る部分を押し付けながら、ゆっくり回す。ここはひたすら腕力で押しつけ、回す。

細くしてくれた先端のお陰で、すぐにダイスが食い付き、軌道に乗る。

最初の食い付きが確認できたら、クレ556を吹いて、ショックアブソーバーにベルトレンチをセット。

ベルトレンチを使いながら半回転進んでは戻り、を繰り返しながら、元々ネジ山があったネジ部先端から30mmのところまで進んでいく。

幸い?奇跡的?大きな失敗もなく、無事に2本とも作業完了。

自分で言うのも何だけど、ビックリするほど完璧なネジ山が完成した。

99パーセントは↑矢印さんのお陰だが、1パーセント位は頑張ったと思いたい。

しかし何より、ショック選択ミスした私を気にかけて、素材を提供いただいたymsさん、本当にありがとうございました!

さて、こうして、ネジ山の修理は完了し、前後KONIの完成が間近に!

早くショック交換したい!

「KONIショックアブソーバーのネジ山復元(肉盛溶接→ダイスねじ切り)」への4件のフィードバック

  1. 所長さま、ダイスでねじ山作り、大変だったと思います。
    筋トレにもなりましたか?
    出来上がりがとても綺麗です!
    ダイスを万力に固定されたのはとても良い発想ですね。
    私のシャフト先端の先細加工が足りなかったように思います。
    再加工していただいたようですね、ご苦労をお掛けしました。
    ダイス最初の切り始め(食い付き)を難儀されたようにも思います。
    お疲れ様でした。
    プロフェッショナルには あと千里の道のりを歩くようかな~と思います。
    歩き始めで挫けました↓
    先日の富士ヶ嶺で青島さまが黙々とクランキング復旧作業という技を拝見させていただきました。
    凄い人だと ビビっております。

    1. お褒めいただき恐縮です。
      食いつきは緊張しましたね〜。
      でも、ダイスによって矯正されてる感じもあり、力さえ加えれば上手く行く程よい加減に加工していただいてたな、という感じです。
      筋肉痛は途中からベルトレンチを使ったので、それ程ひどくはなかったです。
      コツがつかめると削れる感触が結構快感でした。
      本当にありがとうございました。

  2. 管理人さん、そのサイズのバイスをお持ちとは素晴らしい。かなりディープな世界に浸かってられますね!
    矢印さんは、先日の富士ヶ嶺でその筋のプロフェッショナルであることを知りましたが、この肉盛りもさすが匠の技ですね。ネジ切りのための軸径に(おそらくサンダーで)綺麗に仕上げるなんてスゴすぎます。いやぁ、良いものを見せていただきました!

    1. 確かに匠の技でした。あのピカピカの仕上げは。
      なんの因果か、凄い方々とお知り合いになれて、お世話になっていて、今更ながらビビってます。

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