[事故報告]フェイントウインカー、信じて事故して凹んだよ

まえおき


3月5日、久々に車で事故に遭った。

いや、こちらにも過失割合もあるので、事故を起こした、というべき。

事情、言い訳はあっても、やはり油断、過失があったことは否めない。

大事に至らなかったことをありがたく思い、今後の運転に活かそうと決意する出来事だった。

以下、自分の戒めとともに、皆様の安全運転の糧としていたくべく詳細を記録しておく。

保険会社とのやりとりは、いつもながら思うところあり、こちらも詳報しておくことにしたい。

事故の状況


まずはドラレコの映像があるので、そちらを掲載しておく。

場所は1車線、中心線は黄色のはみ出し追い越し禁止区間。

制限速度は40km/H

左に入る道や駐車場のない位置で前方を走行する車がブレーキを踏んで減速

その後、左ウインカーを点灯させたため、当方の車両は当該車両を回避するため右側を通り抜けようとした。

その時点のドラレコの表示時速はおおむね30km。

その時、停車すると思われた前方の車両が突然右折を開始

なに!!ウインカーはフェイントだったか!と気がつくもとき既に遅し。キャプテン翼顔負けの切れ味鋭いフェイントだ。

※相手方の車両はぶつかった瞬間の動画でフロントの右ウインカーも点滅していることが確認できたため、ハザードを点灯していた模様。しかし、右ウインカー付近に荷物入りのバッグを装着しており、後方からは左ウインカーに見えていた。

当方の車は右方向に回避しつつブレーキを踏むが避けきれず接触、当方の車両の左前方バンパー付近、先方の車両の右工法タイヤ上部が、凹むなどの損傷。

幸い、双方、ケガはなく、物損事故でおさまった。

状況分析


相手方車両は、事故後に話したところ、左に車を寄せて停めようと思ったが、やはり反対車線を越えたところにある駐車場に入ろうと翻意し右折したとのことだった。

車いっぱいに荷物を積載しており、後方にはバッグを装着していて後方視界はかなり悪かったと思われるので、見えない状態でよく確認せずに右折してしまったのだろう・・・

相手はその場で平謝り

車内で家族を待たせている状況にも恐縮しきりだったことからも、かなり無謀な運転をしたことは自認している様子だった。(当方も車に乗っていれば事故は起こるものだと割り切っているので、別に怒ったり興奮したりはないので、普通に会話成立。もちろん物損だからそんなことを言ってられるのだが。)

方や、当方はというと、時速30kmと低速の状況ながら、改めて動画で見ると、先方が減速したことでかなり車間距離が縮まっている状況下、ほとんど減速せずに相手車両の横を通過しようとしている点は反省すべき点。

※黄色車線での追い越しはダメだけれど、今回のケースでは相手方が停車するそぶりを見せているため、いわゆる追い越しではないというのが当方の考え。事故後に来た警察官からもお咎めはなかったのでひとまず行政処分はないと理解。(行政処分の話は、私人同士がこの場で議論しても無意味なので以下は割愛)

事故の後は、相手方が携帯電話を忘れたとのことで、当方が警察を呼び、事故処理をしてもらった。

その間、相手方と連絡先、保険会社連絡先の交換がてらお話したところ、車は車中泊など遊ぶための荷物満載とのことだった。

車に乗っていれば事故は付き物、あとは保険会社同士の交渉で進めましょう、ということで円満にその場を後にした。

被害状況


まず当方の車両の被害状況。

  • フロントバンパーカバー左側の凹み、傷(→交換、塗装)
  • 左フロントフェンダーの傷(→塗装)
  • 左ヘッドライトの傷(→交換)

ディーラーでの修理費用見積もりは約18万円。

そして相手方の被害状況。

もともとがかなりワイルドな状態だったので、わかりにくいけれど、右リアのフェンダーの凹み、傷が損害。

面白いことに、この車、右側にはドアがなく、凹みが窓まで到達していないことから、機能的には何ら問題なし。

現場で話した感じでは、別に直さないかも、という感じだったほどだ。

保険会社の示談折衝


当方が加入しているのはネット損保の三井ダイレクト損保。

保険会社(三井ダイレクト損保)の事故連絡窓口にすぐに連絡すると、とりあえず状況、相手方の連絡先などを聞かれ、示談折衝については土日サービスが休みなので3月7日(月)に連絡がくるとのことだったので、当方はひとまず同日中にディーラーに行き、写真を撮影してもらい、見積もりを依頼して自宅に戻った。

そして、3月7日(月)、保険会社の調査員から電話が入った。

当方から事故の状況をひとしきり説明しおえると、調査員は

黄色センターラインの場所での追い越しによる事故なので判例によると9(当方):1(先方)、場合によっては8:2の過失割合にすることができると思います。

と心強い発言。

まぁ、追い越し禁止の区間だから、多少過失割合が影響受けることはあるかな、と予想はしていたものの、この大胆な見解には唖然。

廃車寸前のポルシェでも用意して、黄色車線のところでウインカーでフェイントかけて後続車をぶつからせることができたら、保険金で一儲けできそう。当たり屋を副業としようとする人にとっては魅力的な見解。

参考になる判例を教えてほしい、というと

具体的にはないが、ネットで調べると出てきます

と誠実な対応。

もう一度状況を詳細に説明し、9(当方):1とか8:2って過失割合になる案件じゃないと思うと伝えると

主張は自由。お客様のご主張がそうであれば、そのように相手方保険会社に主張します

というような、マニュアルどおりなコメントいただいた。

しかし、とにかく口を開けば「黄色車線での追い越し、追い越し」と相手方の調査員と話してるんだっけ?と現在地不明になりそうになる状況。

とりあえず、ドラレコの映像を送ることにするも、この頼もしい担当者にはなんも期待できない、ということで、とりあえず自分で判例を調べることに。

この手のことは仕事柄抵抗がないので、少し調べると、今回のような事例で合図と異なる動作をした前方の車の過失割合を大きく査定した判例を2件発見(いずれも車線は黄色)。

令和元年6月27日 東京地裁 平31(レ)34号・平31(レ)130号 損害賠償(交通)請求控訴、同付帯控訴事件 片側2車線の第一車線を走行していたAが路外駐車場に進入しようと左ウインカーを出して減速したため、後続車のBが前に出ようと進路変更し追い抜こうとしたところ、路外駐車場への進入を断念して直進しようとしたAと接触した事故。両者の進路変更に際しての注意義務違反を認めつつ、左折動作に入ってほぼ停止している車Aの前方に出ることは道交法30条にいう追い越しには当たらない、Aの合図を信頼したことはやむを得ないとする一方、Aは自らの動作を信頼して行動する後続車を予測して慎重に走行すべきだったとして、後続車Bの過失割合を30%(Aが70%)として過失相殺した事例。
昭和53年8月30日 松江地裁 昭52(レ)4号 損害賠償請求控訴事件
幅員の狭い道路上で誤って左折の合図をした右折車と後続の直進車との衝突事故につき、直進車の車間距離不保持の過失を認め、後続車の過失40%の過失相殺をした事例

これを動画とともに担当者に送付。

動画と判例を見た担当者と話すと、

本件、〇〇様による追い越し禁止区間での追い越しによる案件ですが、判例の交差点付近よりも危険性の低い場所ですし、判例を参考に、ご希望に沿って被害主張することにします。

とのこと。

裁判官ではなく当方の代理人として示談折衝する、いわば味方であるはずでありながら、やたらと「当方の追い越しによる事故」を強調して攻めてくるところが素敵だけれど、まぁ、やることやるならいいだろう、と任せてみることに。

その後、相手方の保険会社から挨拶の電話を受けると、相手方から事情を聞いての対応だと思うが

今回は当方のお客様との事故ということで、申し訳ありませんでした。

と相手方同様、平謝りモード。

相手も、その保険会社も、平謝りモード、なのに自分の保険会社だけがこちらの過失を攻めてくるという、謎の状況。

まぁ、保険会社の調査員たるもの、さっさと片付けるためクライアントに少しでも多く過失を認めさせて、交渉の妥協シロを広くしてナンボななのだから、わからないでもないけれど・・・

まぁ、過去何度かの経験でも多かれ少なかれ示談折衝への不満はあったからこんなものだとあきらめはあるけれど、それにしても今回は過去最高だ。

その後はこれもお約束。担当者からの連絡は向こうからは来ないので、こちらから定期的に催促。

催促すると、蕎麦屋の出前みたいに

相手からようやく返事がきました。

みたいになる。

秘訣は、そんなことにはストレスを感じず、淡々とルーティンとして定期的(3~4営業日毎)に対応を催促し続けること。

三井ダイレクト損保はアプリの中に「安心メッセージボード」という担当調査員との連絡を取るメールツールがあるので、そこで「〇〇様 お世話になります。その後相手方からの連絡はないでしょうか。本日中に回答をお願いします。」と書き込むだけ。

今回の場合、3月5日の事故発生から、解決の4月1日まで約1か月を要した。

和解内容


そんなこんなで、信頼できる調査員と共闘した結果。

やはり相手は修理しないようで、片側賠償でよいとのこと。

そして過失割合も予想より当方にとって良い条件の20%となった。

  • 相手方の片側賠償(当方から相手の修理費の負担はなし)
  • 過失割合 0(当方):80%(相手方)

「片側賠償」というのは初めて聞いたけれど、双方に過失があるが、一方のみが損害賠償責任を負う示談の方法。つまり、本件でいうと当方は相手方の修理費の賠償義務が発生せず、当方の自動車保険は最終的に使わずに済むため、保険の等級が下がらずに済む(3等級下がると、何もなかったときに比べて3年間で7万円ほど保険料が上がるという説明があった)。

また、最終的な示談交渉の結果としての片側賠償なので、車両保険(自分側の修理)だけでは使えない示談折衝サービスも使うことができるというのが一般的メリット。

結局、修理代金の見積額約18万円の80%、約14万円を受け取ることとなり、今回の事故は解決となった。

金銭賠償を選択しているため、実際の修理は後日、任意の時期、方法で実施予定。通常、修理のためディーラー等に入庫して示談折衝が終了し、修理完了まで預けるケースが一般的だが、当方の地元ディーラーは台車もなく、レンタカー費用が賠償される保証もないので預けたら最後、猛烈に不便な日々を味わう羽目になる。そこで通常走行が可能な状態の本件では金銭賠償を選択し、ディーラーでの見積額ベースで賠償金を受け取り、後日、必要な修理等を行うことにした。損害賠償金は認定された損害を「完全に回復」するために必要な額が支払われるが、極論、走行できて、ボロボロでも構わなければ修理しないことも、必要最低限の修理で済ますことも何ら問題ない。留意点としては事故後に車を走らせるので、相手方による損害確認前に重ねて事故を起こしたりするとややこしいことになるため、細心の注意を払う必要があること。

まとめ


まず、事故原因は過失割合のとおり、当方も車間距離が短かったり、相手方を信頼しすぎて減速不十分ないまま回避行動をとったなど、反省すべき点があったのは間違いない(自己分析)。

実は事故後すぐ、昔、免許を取るための路上講習中に教官から「君は相手の運転を信頼しすぎ。皆が自分と同じように運転できると思わないほうがいい。」と指摘を受けたことを思い出した。

今後は、何があるか分からないという前提での運転に留意することにしようと思う。

そして、保険について。

「今回も」感じたが、やはり基本的に保険会社の調査員(事故の調査や示談折衝を行う担当者)とは利害は一致しないし、するはずがない。

CMでは心地よいお客様の立場に立ったサービスを謳うけれど、調査員もサラリーマン。

彼らが仕事を早く片付けるには、自分のクライアントから少しでも多くの譲歩を引き出し、相手型の調査員と話をまとめやすい状況を作ることが重要。

今回、調査員は、保険料の適正な支払いという命題があるので保険会社双方とも判例に縛られる、クライアントがいいといっただけで過失割合は決まらない、と正論を言っていたが、それを体現しているというには、損害認定がディーラーに電話して写真を見るだけと余りにも杜撰。法人としてはそういう命題もあるだろうが、調査員レベルでそんなことを意識しているとは到底思えない。

ケガや命に関わる案件ならば最後は裁判所での決着も見据えて真面目に慎重に対応するだろうが、こと「物損」となれば、調査員同士のアウンの呼吸、お互い様、業界の常識、暗黙の了解、といったもので省エネ化していることもあるだろう。

かつてセコム損保に加入していた際(15年くらい前の出来事)は、相手方の損害額があまりにも大きく、しかも徐々に膨らんでいくことを指摘すると「相手方の保険会社は東京海上なので間違いないと思う」と言われたこともあり、保険会社間の力関係や、調査員の経験値によるところもかなり大きいはず。

今回の調査員のように、状況をよく調べないうちから「判例」という呪文で物事を片付けようとするのは論外としても、やはり味方だと思い、全幅の信頼を寄せるのは危険だと思う。

決して保険会社の文句を言ったり、もっと頑張れと要求するつもりはない。そういうビジネスモデルなのだから。

ここで言いたいのは、保険会社はそういうもの(かもしれない)と割り切り、小規模な物損事故の場合は特に、調査員が「判例」といったら具体低的な判例を要求したり、自分なりに色々調べてみることが重要だと思う。

車に乗っていれば、多かれ少なかれ、遭遇することのある事故、いざというときに慌てて失敗したり、過大なストレスを感じたりせずに乗り越えたいものだ。

最後に最も重要なこと。ドラレコは必須。

「[事故報告]フェイントウインカー、信じて事故して凹んだよ」への4件のフィードバック

  1. 丸目部会長のまるです。

    お疲れ様でした。
    相手が平謝りだったのは何よりですね。相手の対向車がはみ出したのが原因なのにケンカ腰で来られた過去の忌まわしいもらい事故を思い出しました。

    しかし右ウインカーを隠していたあのバッグは謎ですね。
    もっともハザードが視認できたとしても、相手にあの動きされるとキツいですけどね。

    1. まるさん
      レス遅くなり失礼しました。
      ホントに相手が潔ぎ良かったのが大きいです。
      あとはこのバンパーの作りのお陰でボディがほぼ無傷だったので助かりました。
      前の車が合図を間違えるかも、なんて思って走りませんからねぇ。

  2. 大変でしたね。
    お疲れ様です・・・。
    確かに味方のはずの保険会社としてはこんなものなのでしょう・・・。
    あまりあてに出来ない。法律関係か調査会社に相談するのも方法ですが。友人を作っておくとベストなんですけどね。

    初代サーフの頃、まだ分かった時代。
    時間こそ夜中でしたが全く同じ左ウィンカー&路肩移動の直後いきなり右に回頭!
    挙動不審なワンボックス(低速でフラフラ:道不案内?)なので注意してましたが、前輪が右向いて左ウィンカーのまま走り出すとは想定できず。
    速度差が有ったので、反対車線へ前車が加速する前に飛び出して、そのまま曲がるつもりもない合図なしの右折。
    幸い接触は無く。
    あたったら此方の側面なので割合は自分に有利のハズ。
    友人曰く、接触部が側面か前方かで過失が変化するとの事。
    フロントを当てた方が前方不注意とされるとか。

    怪我も無くて良かったですが、後味の良くない話になりました。
    早く修理が終わる事を願っています。

    1. hzj70mnu さん
      コメントありがとうございます。
      事故は嫌なものですが、この程度の物損で済めば、緩んだ気持ちを引き締める戒めとして有り難く思う事にしてます。
      バンパーはせっせと補修中です。

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