まえがき
秋のブロンコ行きが持ち上がった頃、電装加工のために後ろから愛車再販ランクル70の車体下をのぞきこんだところ、シャックルの脇に黄色いボロッとした物体が目についた。
未だに新車気分の抜けない頭には、経年劣化や故障が起こるはずはないという思い込みがあったので、ビックリ。
その黄色い物体を触ってみるとポロポロと崩れ落ちる有り様。
真面目に対象物の名前を調べると、リフトアップ用の中古TJMゴールドサスペンションキットの「シャックルブッシ」なるものらしい。
それが見事なまでにボロボロになっている模様。装着当時はピカピカだったんだけど・・・
中古とはいえ、再販ランクル70用のものなので、そんなに古くないはずだし、他の同じサスペンションユーザーの知人からもこんなの聞いたことがない。
フロント側のブッシュは問題ないのに、シャックルブッシュだけがなぜ?
ド素人が錆止めなどで変なものを吹き掛けてしまったか?
はたまた沿岸部ならではの塩害?
何にせよ、このままの状態でブロンコは無理そうなことは素人目にも明白。
藁にもすがる思いでリフトアップしてもらったショップに緊急修理をお願いしてみたものの、多忙で対応不可とのつれない回答。
足回りなんて弄ったことないし、このままでは楽しみなブロンコも飛ばさざるを得ないか・・・
しかし、一度は諦めて同行予定の皆さんに不参加を伝えて迎えたブロンコ予定日前日、沸々と「DIYしてみるしかない」という思いが沸き起こり、仕事から戻った夜、突貫DIYに着手した。
情報収集
何はともあれ、サスペンションなどの足回りを弄ったことなどないので、帰りの電車の中、ググって先人の知恵を集める。
「ランクル70 シャックルブッシュ DIY 」などで検索してみる。
思いの外、情報が少ないけれど、丸目の方の情報が2、3出てきて、助手席側のマフラーが邪魔なことや、固着したブッシュを取り出すのが大変ということを知る。
再販ランクル70の場合、比較的新しいので、交換に至った人が少ないのだろう、細かく解説した情報はみあたらなかった。
シャックルの外し方は、色々あるようだし、どれをとっても素人がやるとそれなりの危険はあるようなので、この記事で具体的には触れるのは避けておくけれど、要するに、ジャッキやウマを使ってシャックルにかかる過重がない状態を作り出せばいいらしい。
交換用のシャックルブッシュ
ボロボロになったTJM ゴールドサスペンションキットの黄色いシャックルブッシュは嫌いじゃないので、出来れば新品を手に入れて使いたいところたけれど、今回は何せ時間がない。
そこで今回は、リフトアップした際に外して保管していた純正のシャックルブッシュを使ってみることにする。
流用できるのかどうか、確たる情報はないけれど、所詮ゴムみたいなヤツだから、最悪、切ったり削ったりすれば応急処置としての機能は果たすにちがいない。
今回うまく交換できたら、またそのうち、新しいものに交換すればいいだけだ。
運転席側の交換作業
まずはマフラーが邪魔にならなそうな運転席側のシャックルブッシュから交換作業開始。
仕事上がりなので、この時点で夜8時。
シャックルのタイヤ側のプレートを固定しているボルト(22mm)をレンチで緩めておく。
その上で、プレートが手でさわって動くようになるところにリーフが来るようジャッキを使って調整する。
プレートが動くようになったら、ナットとプレートを外す。
ピンの付いた側のプレートも外して、車体側に残ったブッシュを取り出す。
ブッシュはまだ原型を留めている部分も多いので、ハサミを差してこじると簡単に外れた。
続いて純正ブッシュを流用するので、まずはサイズを確認する。
TJM ゴールドサスペンションキットのシャックルピンのサイズは純正と変わらないようで、純正ブッシュにピッタリだけれど、ピンが僅かに短いのか(ピンそのものの比較を忘れた・・・)、純正ブッシュのほうが僅かに長い。
プレートで押さえつければ問題なさそうではあるものの、念のため、純正ブッシュをカッターで切って長さを合わせておいた。
そして、ブッシュとシャックルを元の位置に取り付けて、ナットを閉めたら完成。ブッシュにはシリコンスプレーを吹いておいた。
こんな感じで運転席側は30分ほどで呆気なく終了。
これは、翌日のブロンコ、行けるにちがいない、と自信を得たところで、余裕のディナータイムへ。
助手席側の交換作業
余裕綽々で夕食を済ませて車に戻ったのは夜9時。
運転席側と同じ手順で内側のプレートを外すところまではスムーズに完了。
この段階で、ボロボロになったブッシュの状態も気になるけれど、上下のシャックルピンが平行でなくなっているのもかなり気になる。
下側のシャックルピンの下側にあるはずのブッシュがなくなってしまったまま走行したせいで、変形したのか・・・
今回は無理だけれど、近いうちに交換しないとダメだ・・・
さて、ここからの作業は苦労するかもと覚悟してはいたものの・・・
苦労する最大の要因は、シャックルピンの付いたプレートを引き抜こうとしても、シャックル上部がマフラーに干渉して無理ということ。
しかし、経験者によると、シャックルブッシュの運転席側半分を運転席側に出して取り除き、助手席側半分を助手席側に出して取り除けば、シャックルをいい感じに傾けられて、マフラーへの干渉が避けられるらしい。
そうするつもりでシャックルブッシュにドライバーなどをさして、なんとかスライドさせようとするのだけれど、こちらのシャックルブッシュの状態は酷くて、ボロボロと崩れてしまってスライドは夢のまた夢。
下側は幸か不幸か、既に崩れ落ちてしまっていてスカスカなことと、作業スペースが広いお陰で10分程度でドライバーなどを使って掻き出すことができたものの、上側は、燃料タンクのせいで作業スペースも狭くてどうにもならない。
それでも諦めたら終わり。
ブロンコの楽しい1日も諦めることになる。
ラグビー日本代表よろしくネバーギブアップの精神で色々試した結果、マイナスの精密ドライバーを使って地道に少しずつ掻き出すのが一番の近道だと判断。
夜9時30分頃から2時間くらいの間、ひたすら黄色いシャックルブッシュと格闘。上向きでの作業は本当に辛い。
それでも夜11:30頃、ようやくすべてのシャックルブッシュの掻き出しが完了し、ピンの付いたシャックルのプレートが外れる角度になり、マフラーを少し押してやると、外すことができた。
なんたる苦行!なんたるボロボロ!
さぁ、あとは運転席側と同様、純正シャックルブッシュを少しカットして、プレートとともに装着する。
シャックルピンが平行でなくなってるせいで、運転席側半分のブッシュを嵌める際は、上下それぞれ角度調整する必要があったのだけれど、ここは何とかクリア。
しかし、運転席側のプレートを嵌めようとしたとき、トラブルが発生。(ここからは焦りとパニックで写真撮影なし)
プレートがスンナリ嵌まらない。
上側が奥まで行かず、ナットが絞められない状態で、下側だけが奥まで嵌まって、プレートが完全に斜め状態。
日中ならば、ハンマーで上側を軽くたたいて嵌められたのだろうけれど、いかんせん夜12時。
焦る気持ちとドシロウトが見事にコラボし、下側のナットを締め込む力で上側も押し込んでやろうと乱暴なアイディアにいいね!してしまった。
そして・・・グイグイとナットを締める。
しかし、いくら締めてもプレート上側はびくともせず・・・慌ててナットを緩めた時には時既に遅し、プレート上側も下側も、手の力ではびくともしない状態で固まってしまった。
もはやハンマーでぶったたいて外してやり直す他なし。
万事休す!!
早朝ブロンコへ出発の夢は最後の僅かなところで打ち砕かれた。
無力感に苛まれながら、この日は24:30、作業中断。
そして翌朝、せめてものご近所への配慮で朝7時を待ってハンマーでぶったたいてプレートを外し、今度は慎重にはめ直し。
ナットをしっかり絞めて、ようやくの作業完了。感無量。
まとめ
ド素人が約5時間をかけて、ようやくコンプリート(なぜ英語?)したシャックルブッシュのDIY 交換。
もう一度やれば、半分以下で済ませる自信はあるけれど、やっぱりブッシュ掻き出しは避けたい。
掻き出さないでブッシュが外れれば、一時間もかからない作業なのだから、これからはブッシュの状態をしっかり確認して、ボロボロになる前に手を打つようにしたいなぁ・・・この苦しみを忘れない自信はないけど・・・
何はともあれ、こうして朝8時にはブロンコに出発することができて、楽しい時を過ごせたし、土素人の自分にとってはシャックルを外すなんて貴重なDIY を経験することもできたのだから、万事OK。
今度はショック交換とかもしてみようかという気になってきた。
ブッシュ交換、お疲れ様でした。
もし自分がこの状況だったらどうしよう、と会社の仕事そっちのけでブッシュ除去方法を思案しておりました。
夜の作業でトンカチが使えないというハードルの高い状況ですね。
木の角材とタイヤレバーを使いマフラー側へ引き抜いてみては如何でしょう。
シャックルのプレートが外れたところからの作業になります。
シャックルのピンの隙間にブッシュより外形の小さなワッシャー(ブッシュ)等を入れ、ボルト面一までナットを手で締めます。
木の角材とタイヤレバーを使いマフラー側へ引き抜きます。
ブッシュが20mm位出てくると思います。この部分を切除します。
足等でシャックルを元の位置に戻します。
さらにピンの隙間にワッシャー等を入れナットを締めます。
再度タイヤレバーで引き抜きます。
ブッシュを切除(トータル40mm位)します。
シャックルを元の位置に戻し、さらにワッシャーを入れて引き抜きます。
この状態でシャックルが手で動くようになると思います。
場合によってはもう一度ブッシュ引き抜き作業をして下さい。
ナットを外し、針金の先端を小さく曲げたような形の物でワッシャーを全て取り出します。
ここまでの作業でマフラーパイプを交わしシャックルが外れると思います。
私もこのような厳しい作業の経験が無く、想像上の話です。
もしこの方法より良い手法があればそちらを優先して下さい。
↑矢印さん
確かにテコの原理でやればうまく行きそうですね。
仰向け、焦り、暗闇の三拍子そろった中で、冷静にアイディアを模索することもままならなかったのですが、次回があれば、うまく乗り切れそうです。
でもトラウマなので、スッと抜けるうちに交換しておくくらいにしておきたいです・・・
大変でしたね!
DIYでは良くあることですね!
さてブッシュの件ですがTJMのシャックルはグリスニップル が付いておりグリス注入式となっておりますがグリスは注入していたのでしょうか??
本来ゴム、ウレタン?製品は油に弱いのでグリスを注入するとひび割れ等の劣化を促進させてしまい、結果本来の寿命より極端に短くなってしまうと聞いたことがあります。気にする人は普通のリチウムグリスではなく、ゴムやウレタンに無害なシリコングリスを注入したり塗布するそうです。
また、デューンってメーカーのブッシュはポリエステル素材で加水分解せず、耐油性もありいいそうです。
HUNK さん
コメントありがとうございます。グリスニップルは恐らく前寄りのブッシュがあるところだけで、今回の後寄りのシャックル部分はないようです。板バネのギコギコ音解消のためにモリブデンスプレーをかけたときにシャックル部分にもかかったのかもしれません。
シリコングリスとデューンのブッシュ、参考にさせていただきます。
本当に、1個だけ狙ったようにボロボロですね。
経年劣化では無さそうです。
そこだけぶつけて、ほつれていったようにも見えます。
私もどこでぶつけたか解らないので、また確認してみようと思います。
座る狼さん
後の下側ブッシュが左右とも一番激しく劣化したので、やはり凸凹道でぶつけたことも影響あるのかもしれません。そこをきっかけにボロボロが加速したというのは考えられます。でも、助手席側上部もかなりのボロボロでしたので、それだけでもないような・・・フェイスブックで加水分解というものがあるということを教えてもらいました。色々複合して加速度的に劣化したのかもしれません。