まえおき
4WD(四輪駆動車・ヨンク)には大きく分けて2種類ある。
- フルタイム4WD→常に4WD状態
- パートタイム4WD→ドライバーが切り替え時のみ4WD
※現在は両者をミックスした派生形などもあるが、この記事では割愛
愛車のランクル70(GRJ76K)はパートタイム4WDで2輪駆動時は後輪のみ駆動するFR(フロントエンジン・リアドライブ)。
↑なぜパートタイム4WDなのか勉強した記事。
パートタイム4WDを採用する車(主なもの)
ハイラックス | FJクルーザー |
ジムニーシエラ | ランクル70
|
フルタイム4WDを採用する車(主なもの)
ランクル200 | プラド(90系以降) |
パートタイムの4WD(4H・4L)は舗装路で使うと、前後車軸の回転差を処理できなくなり、タイトコーナーブレーキング現象が起きるので危険、と聞くとビビってしまう。
しかし、その反面、大雨時や降雪時の滑りやすい路面状態の高速走行時などは、積極的に使ったほうがいい、とのアドバイスも聞く。
何となくブレーキとアクセル両方踏まれたような、素人には難しい状況だ・・・
これについて、FBでH4の使い方に関する質問をいただいたので、この機会にお勉強してみる。
お題目
取扱説明書を確認
まずは基本となる取扱説明書で確認。
ハイレンジ4WD(H4)は「悪路、氷雪路、砂地など滑りやすい路面」で使うものとされている。
また「警告」として
とある。
これをやると、
- 駆動系部品に悪影響
- 駆動系オイルのもれや焼き付き」
- タイヤの早期摩耗
- 燃料消費量の悪化
につながることがあると。
さらには急旋回で「タイトコーナーブレーキング現象」も起こりうるとか。
タイトコーナーブレーキング現象とは(日産自動車HPより)
乾燥した舗装路を4WD状態で走行中、ハンドルをいっぱいに切って旋回するとブレーキをかけたような状態になることがあります。この現象をタイトコーナーブレーキング現象といいます。
この現象は旋回するとき前後輪に回転差が生じるために起きる4WD車特有の現象で異常ではありません。この現象が発生したときはハンドルの操作力が重くなります。
乾燥した「舗装路面及び高速道路」では、という条件付き。
それならば、逆に、濡れた「舗装路面及び高速道路」ではH4で走ることも許容しているということ。(「乾燥した舗装路面」及び「高速道路」と読むのと全然違う話になるけれど、それはないと判断。)
高速道路には最低速度の定めがあるのだから、少なくともそれ以上で走っても大丈夫ということだろう。
そこで法定速度以外の上限があるかというのが、質問者の聞きたいことか。
ディーラー営業マンに聞いてみた
ディーラーの営業マンにも一応質問してみたところ、以下のように教えてくれた。
- H4に関しては、特に注意事項はない。
- H4は、速度が上がりにくいので、せいぜい、時速100km程度しか出せないだろう。
- 滑りやすい部分と、そうでない部分が混在する高速道路では2WDと4Hを切り替えながら走るのは現実的ではない。高速道路で時速100kmでH4で走って問題ない。
- 高速道路では積雪路はそうないかもしれないが、積雪のある60km前後で流れているバイパスなどでも、H4で走って問題ない。
「極端な話、乾燥した普通の道をH4で走っても燃費が悪かったり無駄が生じるだけで、故障することはない」とも言っていた。
もちろん、説明書にあるとおり、故障やタイトコーナーブレーキング現象が起こる可能性はある。
そのような状況は避けるのが基本だが、心配しすぎる必要もないと感がえてよさそう。
心強い回答。
オーナーの皆さんの使い方
説明書の記載とディーラー営業マンの回答に温度差がある。
そこで、念のため他のランクル70オーナーの方々にから教えてもらった使い方などもご紹介。
再販ランクル76に乗っていますが、雪の高速道は80Km/h。
台風の高速道は100Km/hで走行してました。
25年前にプラドのディーゼルMTに乗っていた時も、路面が滑りやすい状況ならば、H4で走行しても全く問題なかったと思います。
(CKさんのコメントより引用・・・FACEBOOK)
冬や梅雨時期はフロントハブはロックにしています。
雨の日は直線道ならすぐ4WDに入れています。
右左折時には忘れないように2WDにしないといけないので少し気を使います。
高速の雨天時は100%四駆(H4)ですがまったく問題ありません。
(SKさんのコメントより引用・・・FACEBOOK)
自分の4Hの実際の使い方ですが、横風や連続カーブで、やや高い速度での走行時やアンチロックブレーキ効果を狙っての暫定的なシフトを行っています。
これらは主にタイヤ性能の補助としての応用です。
長所と短所をうまく使い分けできるよう心がけていますがなかなか奥が深くて…。
ところでタイトコーナーブレーキング現象なんですが、タイヤのグリップが高い状態で発生し、直結4輪駆動時のみのものです。
これを無視し続けると前軸のナックル部を壊しますが、滅茶苦茶な負荷を掛けなければ、通常なら強度的に大丈夫です。
(hzj70mnuさんのコメントより引用)
北海道でジムニーに乗っていますが、基本はH4のまま走行しています。
ギア比を下げているため頑張っても100kmほどしか出ませんがH4で高速走行して問題が生じることはないです。
問題としては燃費が悪くなることとタイヤをちびることくらいだと思います。
ちなみに-10℃以下の極寒では路面の水分がなくなるので実は結構グリップするんです。
下手に溶けてきた路面ではズルズルいきますが…。
北海道のオフローダーたちの中では冬でもFRでバンバン走っている方たちもいますが、凍結路面に慣れていないと難しいでしょう。
自分もノンスリを入れているので正直FRでもグイグイ進みますが一応H4で走っています。
(4WD一筋Jr.さんのコメントより引用)
前輪駆動周りのメンテナンス目的で、雨の日に、時々H4に入れて走ってます。
ハンドリングは重くなりますが、路面が濡れていると、タイトブレーキング現象は起きにくいです。
(ランクルマニアさんのコメントより引用)
冬の高速といっても路面状態は当然変化し、乾燥路を100km/h+αで巡航し続けることもありますが、全く問題ないと思われます。
思えばオーストラリアのアウトバックなどを猛スピードで走り続けても壊れないように作ってあるクルマなので、日本の高速道路の常識的な走行ごときで壊れるわけがないと思っています・・・というか、そう信じています。
(丸目部会長まるさんのコメントより引用)
私の場合、基本に二駆、路面積雪あれば四駆、路面積雪なく湿っている程度は凍結が気になるかどうかで使い分けています。
ハンドルを二回切る場面だとタイトコーナーブレーキング現象が出る可能性がありますので、高速道路の通常走行なら問題ない、サービスエリアでの駐車など二回切る場面が出てくればその前の停止で二駆から四駆に切り替える、といった感じです。
(通りすがりのブログファンさんのコメントより引用)
まとめ
さて、今回も非常に勉強になった。
もちろん間違った使い方をすれば車を傷める可能性もある4H。
初めての人が説明書だけ見ると、警告ばかりが目に付くかもしれない。
しかし、せっかくついている4WD(4H)モード。
特性や注意点をしっかり理解した上で、使うことで安全度が増す状況では積極的に使いこなしたいものだ。
そうそう、結局のところ、質問の答えは
という、まどろっこしい感じでよいのではないかと。
コメントいただいた皆様、ありがとうございました!
hzj70mnuさん
コメントありがとうございます。さすが、ちゃんと場面に応じて4WDを活用されているんですね。さなげに行った時くらいしか使ってなかったので、台風の雨の時とか、積極的に使いたいと思います。少々のことでは壊れないという安心感は大きいですね。
自分の4Hの実際の使い方ですが、横風や連続カーブで、やや高い速度での走行時やアンチロックブレーキ効果を狙っての暫定的なシフトを行っています。
これらは主にタイヤ性能の補助としての応用です。
長所と短所をうまく使い分けできるよう心がけていますがなかなか奥が深くて…。
ところでタイトコーナーブレーキング現象なんですが。
タイヤのグリップが高い状態で発生し、直結4輪駆動時のみのものです。
これを無視し続けると前軸のナックル部を壊します。
滅茶苦茶な負荷を掛けなければ、通常なら強度的に大丈夫です。
4WD一筋Jrさん
コメントありがとうございます。4WD父子鷹ですね~
本場での4H活用事情など、教えていただきありがとうございます。
年に一度大雪が降るかどうか、積雪のある道路は好んでいかない限り経験できない境遇なので、
雪国やそれに近い環境の皆さんのコメントが本当に勉強になります。
これからもよろしくお願いします。
はじめまして。
4WD一筋Jr.です。4WD一筋の実子です。
北海道でジムニーに乗っていますが、基本はH4のまま走行しています。ギア比を下げているため頑張っても100kmほどしか出ませんがH4で高速走行して問題が生じることはないです。問題としては燃費が悪くなることとタイヤをちびることくらいだと思います。
ちなみに-10℃以下の極寒では路面の水分がなくなるので実は結構グリップするんです。下手に溶けてきた路面ではズルズルいきますが…。
北海道のオフローダーたちの中では冬でもFRでバンバン走っている方たちもいますが、凍結路面に慣れていないと難しいでしょう。自分もノンスリを入れているので正直FRでもグイグイ進みますが一応H4で走っています。
hzj70mnuさん
コメントありがとうございます。雪道は普通の道とは全然違う注意すべきことがたくさんあって緊張感ありますね。貴重な情報、噛み締めて行きたいと思います。とはいえ、70での初雪走行は楽しみでもあります。
すみません、再び連投です。
彼の地へ行かれるなら、対向車線の路面の色の観察をするのも一興かと。
黒い時、温度の高い場所から来た車は付着した雪を水にします。環境によってはブラックアイスの源ですが、暖かい場所が近い事も意味します。チェーン脱着の目安ですね。
白い時、雪の着いたタイヤから落ちた事なので先には雪が待っている予告です。路面温度も下がり、橋や鉄道のトンネルの直上なら凍結を予想して前走車との距離を空けます。
携帯トイレがあると渋滞には強い味方、出発前に群馬のライブカメラで確認するのも良いです。
群馬の北部山沿いですが、気を付けたい点は今の時期だと夕方5時くらいで降雪が始まるか本気でわさわさ降っている事が有ります。
橋を渡ると雨から急に雪へ、短い距離で変化する事も。
また、降雪が早朝過ぎると除雪等は間に合いません。ただ、ある程度危険度のある場所(主に坂)では砂を撒いて応急処理してもらえる事も有りますけど。
上り坂では止まるな・距離を空けて回避できるようにする等も注意点です。
また、車両の幅によっては、通れる場所が限定されてしまう事も…。
H4だと深い雪の轍に注意、急に乗り上げます。
登坂路での再発進は四駆なので容易ですが、急にアクセルオンしすぎると掘ります。
視界確保の為、ボンネットとルーフ上の雪は前席部まで除いた方がブレーキング等でホワイトアウトしないで済みます。
できればスノーワイパーが欲しいですね。ワイパー自体に雪が付きにくいのです。
軍手かゴム手の右用を一つ用意しておくとAピラーにワイパーで固まって着いた雪をどかしやすいです。
ランクルマニアさん
コメントありがとうございます。説明書にある月一回、15kmというやつですね。雨の日ですか、それでも良いんですね。勉強になります。
管理人さま
こんにちは。
基本は、皆様のコメントと同様の使い方ですが、前輪駆動周りのメンテナンス目的で、雨の日に、時々H4に入れて走ってます。ハンドリングは重くなりますが、路面が濡れていると、タイトブレーキング現象は起きにくいです。
本題とは異なりますが、参考まで。
まるさん
コメントありがとうございます。書いていなかったのですが、まるさんが後段で言われているオーストラリアの部分と、同じような事を、ディーラーの方も言われていました。頼りになるクルマですね。
管理人さま
こんにちは。
HZJ76のまるです。
通りすがりのブログファンさまと基本的に同様の使い方で、17シーズン目の冬を迎えています。
冬の高速といっても路面状態は当然変化し、乾燥路を100km/h+αで巡航し続けることもありますが、全く問題ないと思われます。
思えばオーストラリアのアウトバックなどを猛スピードで走り続けても壊れないように作ってあるクルマなので、日本の高速道路の常識的な走行ごときで壊れるわけがないと思っています・・・というか、そう信じています。
通りすがりのブログファンさん
コメントありがとうございます。
すごく分かりやすい説明ですね~、助かります。
参考にさせていただきます。
管理人さま
興味深いスレをありがとうございます。私の場合、基本に二駆、路面積雪あれば四駆、路面積雪なく湿っている程度は凍結が気になるかどうかで使い分けています。ハンドルを二回切る場面だとタイトコーナーブレーキング現象が出る可能性がありますので、高速道路の通常走行なら問題ない、サービスエリアでの駐車など二回切る場面が出てくればその前の停止で二駆から四駆に切り替える、といった感じです。
※さきほどコメントしたのですがエラーで投稿できず、再投稿しました。何度か書き込みボタンを押したのでいくつも届いてしまってましたら申し訳ありません。。