再販ランクル70販売時の雑誌(小鑓氏コメント)から再再販が見えてくる?

まえおき


本棚を片付けていて、2014年のランクル70再販時の特集雑誌が目に付いた。

改めて斜め読みしていて、目に留まったのはランドクルーザー70チーフエンジニア小鑓氏の再販ランクル70についてのコメント。

2015年RVパークで記念撮影に応じてくれた小鑓氏

ミッションやエンジンについて語っているのだが、その立場を考えると非常に重みがあり、説得力がある。

また、今、再再販で起こるとウワサされていることと照らし合わせてみると非常に興味深い。

※この枠内コメント記載は当方の感想です。

[引用元]

再販理由などについてのコメント


「日本でナナマルの販売終了後、 たくさんのユーザーから復活を望 む声がありました。それは単にオフロードを走れるクルマがないから ・・・というのではなく、ナナマルの代 わりになるクルマがないためなのです。その結果、中古市場でナナマ ルの価格は高騰し、オーナーイベ ントでも日本全国各地から多くの ユーザーが参加するといった盛り上がりを見せていました。この状 況を目の当たりにして、トヨタは、 果たしてオーナーの期待に応えら れているんだろうか? そう考え た時、日本でナナマルを復活させ たい!という想いが強くわき、実は5~6年前からどうしたら日 本市場に戻せるのかを考えてきま した。」

「要望がいくらあったとしても、 復活させるには、そのタイミング も含めて難しい点が多くありまし た。そして、検討案として挙がってきたのが“記念車〟ということ。 それならば、ナナマルの再発売が 叶いそうでしたので、ずっと記念車としてタイミングを狙っていまし た。 ランドクルーザー誕生60周年 記念の後にあるのは、ナナマル誕生30周年。丁度、日本での販売を 中止してから10年という節目にも 当たりましたから、タイミングを 逃す手はなかったワケです。」

前回も中古車価格高騰を課題視していたとは知らなかった。結局、同じことを繰り返してるってことか。

「正直、継続販売は考えていません。来年以降に日本国内で歩行者保護や 燃費などの法規制が変わるわけです が、それらに対応して新しい70の商 品価値を継続できるかというと難しいのが現実です。一応、現状でも ABSを付けたり、エアバッグを追加したりはしてるんですよ。でも10 年、20年の法規制に適合していける かというと難しい。世界のマーケッ トを考えて、日本の法規制に対応したカタチがいいというのであれば、それは考えなければなりませんが。 ですので、現状モデルでは一年間か なと。」

当時は「もうない」と読んでいたが、よく読むと「世界のマーケット次第ではあり得る」とも。今回はそういうことで実現するのかも。

エンジンについてのコメント


「現状では日本のディーゼル規制 が世界で一番厳しいんですね。 一方 で、ランクル70のマーケットを考え るとディーゼル需要は大きくない。 これはメーカー側の都合なんですが、 規制対策となるといろいろ手間とコ ストがかかるわけです。マーケット の数が見えてくれば、もちろんディ ーゼル導入ということも考えていきたいのですが、今のタイミングでは ないかなと。ただ、規制をクリアできる自信はありますし、基礎的な技 術開発も実際にやっています。でも 生産となると量産に向けた開発並び に設備投資も必要になってきますし、実際4.5ℓV8 ディーゼルと もなると複雑なデバイスが必要で価 格にも影響が出てくる。なかなかユ ーザーさんが想像しているような昔 のディーゼルの価格では厳しいと思 うんですよ。ですから営業サイドな どとも検討を重ねながら、実現が可 能かどうか模索していくかなと。決して後ろ向きになっているわけでは ありません。」

ディーゼル需要が大きくないというのは意外な認識。再販してみた結果、ディーゼルニーズの大きさが認識され、模索した結果が今回の再再販ということか。

「これが2.0ℓのターボなんかだと、低速トルクが足りなくてワークホー スとして成り立たないんですよ。国 内で見ると何でこんな大きなエン ジンを積んでいるの、と思われちゃ うんですが、世界の市場を見ると低 速トルクが大きくないと戦っていけないんですよね。とくにMTでクラ ッチなので、沢山の荷物や人を積み、坂道で一度止まり発進する時などは、まったく登れない場所とかある わけです。例え4L(トランスファー) に入れてもね。 4・5ℓから4・0 に換えた時も低速トルクが落ちたってさんざん言われましたからね。だからトルクはこういった実用の四 輪駆動車には重要なんです。」

再販ランクル70の1GRエンジン

小排気量ターボの場合、ATのほうがいいということか。今回の2.8LターボエンジンでもATのほうがいい面があるのかも。(MTも可能性ありというのが最新情報ではあるが)

「ディーゼルエンジンは、かつての1 HD型は、今では1VDと呼ばれ るV8へとスイッチしていますが、 やはりコストの面から見送らざる を得ませんでした。また、1HZ 型もありましたが、パワー面から 不足がありますし、排出ガス規制 の問題もありましたので、今回は、 新たにガソリンエンジンを提案しよ うということになりました。 ナナ マルに一番求められるのは壊れない こと。そのためには、メカニズムは シンプルであるに越したことはあ りません。そんな理由から、最新 世代ではない1GR型をナナマルに 搭載しているのです。」

V8がコスト面で見送らざるを得ないというのはおそらく今回も同じで、1GDということなのだろう。(1HZのパワー不足はコメントすると怖いのでスルー。)

ミッションについてのコメント


「ATはそもそも、前の70でも日本専用装備だったんです。やはりランクル70の信頼性というのは壊れにく いということ、直しやすいということが重要なんですね。70の良さとい うのは、どんな僻地の工場でも直せ るということだと思うんですよ。まあ日本、米国、欧州とかならATを 直せる工場は地方にもあるとは思うんですが、 アフリカなどの未開の地で直せるかというとなかなかそうは いかない。となるとMTということになります。」

イメージ画像

「確かにATはありました。しかしATは日本仕様のみの特別バージョンで、日本での販売が中止された後、ATのナナマルは生産されていません。つまり、今、グローバルに販売されているナナマルは、基本MTのみなんです。」

ランクル70は基本的にMTといいつつ、日本においてはAT設定していたのだから、再再販でAT「も」あることは何ら不思議ではない。オーストラリアでもATが投入されるというのをどこかで聞いた気がするが(真偽不明)・・・時代は変わった?

読み返して思うのは・・・


こうして、小鑓氏の2014年当時の発言を振り返ってみると、今、ウワサされているランクル70再再販は、2014年以前からの国内再投入検討の延長線上にあるような印象を受けた。

(当時、「限定だというから買ったのに・・・」という方も居るようですが、そう考えるのも勿論自由です。そう考えることを否定するつもりはありません。)

上記コメントを踏まえ、今回の再再販やその仕様の背景を妄想するに以下のようなことだろうか。

  • 2014年当時は日本の厳しい基準への対応は難しいと思っていたが、世界的に安全基準などが厳しくなり、それに対応するうち、日本基準への対応も視野に入ってきた。
  • 日本国内では相変わらずディーゼルランクル70へのニーズが高く、本来なら1VDとしたいが、コスト面から1GDを選択。若干排気量が小さくなりターボなのでATが適している。ATはランクル70の世界標準ではないが、日本では実績もあり採用。ATのみのつもりだったが、MTニーズの高さも踏まえて投入検討中?

とまぁ、分かったようなことを書けば、何が起こるか想像に難くないが・・・

背景を妄想するとは酷い情報渇望状態。

賑やかしのイメージ画像

早く再再販決定のニュースリリース出してくれないかな。

「再販ランクル70販売時の雑誌(小鑓氏コメント)から再再販が見えてくる?」への2件のフィードバック

  1. 丸目部会長のまるです。

    小鑓氏が定年を迎えるので、執念で再再販にこぎつけた、みたいな話もありますね。
    そういう、人の血が通っているのを感じるような話は悪くないですね。

    1. まるさん
      コメントありがとうございます。
      今までのランクル70はそういう話の似合う昭和な車のイメージですね。
      次のモデルで何か変わるのか、やはり同じイメージが残るのか、楽しみです。

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