まえおき
半年毎に実施している再販ランクル70中古車市場動向調査も今回で9回目となった。
※ここで取り上げるランクル70は、2014年に国内再販された、再販ランクル70、復刻ランクル70などと呼ばれる車。(GRJ76K及びGRJ79K )
再販ランクル70中古車は、コロナ後の中古車市場の落ち着きと、再再販を待つ動きもあって、2019年頃から長く続いた上昇相場が終了。

一転、前回までバンを中心に下落傾向がみられていた。
それが、半年経過してどうなったか興味深いところ。
調査結果
○前提条件等
★価格は車両本体価格(諸費用含まず)
★異常値と思われる高値の車両は当方の判断で除外。また、価格が「ASK」となっているものも除外。
★調査対象はグーネットにある車。個人売買など、掲載されていないものは当然漏れているので悪しからず。
在庫台数
まずは在庫台数を見ていく。
再販ランクル70全体での中古車在庫台数は、前回の79台から43台へと激減。
バンの在庫数が半減となったことが要因だ。
この台数は、2021年6月の39台以来の少なさとなっている。
要因としては、再再販ランクル70がオートマのみと確定したことで、どうしてもMTが欲しい人が再販車を買いに動いたこと、また、再再販ランクル70の価格が高いため、再再販と比較すると手ごろな再販ランクル70の需要が高まっていることが考えられる。
再再販開始後は、再販ランクル70からの買い替えも一定数見込まれることで在庫数が増加するとみていたが、再再販ランクル70の供給数の少なさと、納期の長期化によって、それも望み薄。
当面この在庫が大幅に増えることは期待できないのかもしれない。
平均価格
続いて再販ランクル70中古車在庫の平均価格。
販売価格は前回までの下落トレンドから一転、上昇に転じた。
当方は、再再販ランクル70の販売状況次第では、再販ランクル70は300万円台半ば程度で落ち着くのではないかと推測していた。
しかし、再再販ランクル70の供給見込みやMTのみといった仕様、および価格帯が明らかになるにつれ、在庫数は減少し始めている。
ここ1か月程度でデフロック付きで走行距離が10万キロ未満などの好条件の300万円台の車はかなり売れてしまった印象だ。
ピックアップは異次元だ。
元々の在庫の少なさと、再再販でワゴンしか販売されないことにより、完全に供給不足となり、価格が100万円以上高騰している。
ピックアップの在庫7台のうち3台が500万円台、さらに3台が600万円台の値付けとなっている。
この価格で成約するか疑問はあるが、個性的でカッコイイことは間違いのないピックアップだけに、今後も高値水準が続くものと思われる。
ちなみに、新車時の再販ランクル70の販売価格は、標準的なオプション、諸費用と、一定の値引きなどを踏まえ、350〜420万円程度だったと思われる。
一時期に比べて相場が落ち着いたとはいえ、そのリセールバリューの高さは相当なものだ。
平均走行距離
続いて再販ランクル70在庫車の平均走行距離。
走行距離は不思議とあまり増えてこない。
間もなく2014年から10年が経過しようというのに、全体平均は5万キロにも届かない。
さらに言えば、在庫車のうち約62%(27台)が5万キロ以下、そのうち3万キロ未満も12台もある。
600万円台の高額車両の多くが1万キロも走行していない車になっている。
価格帯別在庫台数
次に価格帯別にどの程度の数の再販ランクル70中古車が販売されているかを見ていく。
前回、久々に200万円台の車が登場していたが、今回はない。
300万円以上350万円にもわずか1台あるのみとなっている。
最大のボリュームゾーンは前回の400万円から450万円のレンジから、450万円から500万円のレンジに一段上昇している。
前回調査時は、再再販ランクル70がここまで厳しい供給状況によるとは考えていなかった。
それゆえ、いずれ300万円台前半のレンジが最大ボリュームゾーンになると予想していたのだが、完全に予想が外れてしまった。
都道府県別在庫台数
続いて都道府県別の再販ランクル70在庫台数を見ていく。
今回は前回の1位、埼玉県が0台になり姿を消した。
変わって、1位に躍り出たのは福岡県。
長く上位に君臨していたトヨタのお膝元愛知県が、1台のみとなり、初めて上位から姿を消した。
販売店シェア
最後に販売店のシェアを見ておきたい。
前回、10台の在庫で1位だったSUV LANDがは2台まで在庫を減らし上位から姿を消した。
変わって、フレックスが1位となった。
ランクル専門店を展開するフレックスの本領発揮と言いたいところだが決してフレックスが在庫を増やしているわけではない。
よく見ると、他の販売店は比較的低価格で販売していたため、在庫が一掃された結果であることが分かる。
平均価格が一番高いのはフレックスの460万円。調査の度に書いているが、高価格帯で高値キープしているうちの代表格。
このフレックスに対して、KSファクトリー、フェニックスは420万円程度と1割程度安くなっている。
ランクルの中古車業界でのフレックスの知名度は他を凌駕するものがあるのは事実。
ブランディングが成功したおかげで、ある程度高値でも販売できているということもあるのだろう。
まとめ
さて、今回は前回までの下落傾向から一転、まだ全体としては僅かだが、価格上昇となった。
ランクル70の再再販を前に、トヨタ関係者のコメントとして中古車相場の高騰抑制を意図するという情報が聞こえていたが、残念ながら現時点では逆方向になっているようだ。
もちろん、供給量が十分に足りれば、再販ランクル70など、他のランクルシリーズの中古車の価格抑制効果を得られただろうが、今の日本国内の供給量では、少なくとも一時的な需要を満たすには程遠い。
むしろ買えないことによるランクル70への渇望感が高まり、価格高騰に寄与しているのではないかとすら思える。
それでも、ランクル70の需要は、プラドなどの乗りやすい車と比べれば、無限に湧いてくるようなものではないはずで、時間が経てば需要と供給が釣り合ってくると思っていた。
しかし、最近は、それでも価格が高止まりしそうな懸念もあるとみている。
それは、トヨタが中古車市場でも存在感を増しそうな状況があるからだ。
転売防止のための手段として、残クレやキントを積極的に展開しているが、これに加えて、下取りも強化している。
ランクル70を買う際の状況を聞くところでは、下取りを強制する例もみられるようだ。
これらはいずれも、ランクルに限らずだが、中古車をトヨタに集中させることに繋がっている。
さらに言えば、ビッグモーター事件を契機として、中古車業界への不信感が、高齢者を中心としてディーラー下取りを有利にさせる可能性もある。
ディーラーの中古車販売価格は、その安心感と引き換えに、一般的な中古車ディーラーよりも高めに設定されることが多い。
これがランクル70の中古車価格が今後も高止まりすることに繋がることが懸念される。
もちろん、探せば、価格が落ち着くかもしれない要因もある。
それはランクル250、コンパクトクルーザー、ジムニー5ドアなど、SUVとしてランクル70を求める層にとっての代替車となり得る車の販売開始だ。
マニアックなランクル70オーナーなら、マウントを取って、代替車にならない、と鼻で笑うかもしれないが、昨今のランクル70へのニーズは、オートマ化も手伝い、必ずしもマニアがメインではないと思われる。
現状では、それら代替車が発売されても供給不足が解消するかどうか不透明だが、ランクル70とはレベルの違う供給量で、需要を吸収する可能性もある。
そういう意味で、ランクル70以外のSUVの動向も注視していきたい。
以上が、第9回目となる再販ランクル70中古車市場調査の結果と、それに対する所感。
違うと思うもよし、そうかと思うもよし、あくまで素人の所感なので、興奮することなく、ご自身の見解を整理してお楽しみいただければ幸い。
引き続き半年に1回程度調査を継続していくつもりだ。
この先の動向が楽しみだ。
ランクル70狂騒曲(笑)ですね。巷では買える買えないで
かなりNETでは荒れていますが、2004年製廃時の国内販売台数、そして再販70の総販売台数を月産にすると共に1000台にも届いていないのを皆さん分かっているのでしょうか?
今回の再再販に向けての国内向け開発費を見たらこの仕様で480万は相当頑張っていると思いますし、同じ製造業としてメーカーをもっとリスペクトすべきと僕は思います。