まえおき
2023年にも再再販かとウワサのランクル70。
今までに当研究所の支援者の方から寄せられた情報の一つに乗用車(ワゴン)の可能性ありというものがあった。
そして、つい数日前、新たに「3ナンバー」で出るという有力っぽい(トヨタに近い自動車関係業界の方から聞いた情報らしい)ウワサが寄せられた。
自分としては、ワークホースなんだから貨物車でしょ、なんてこだわりも何もない。
ただ、ランクル70購入までは意識したこともなかった貨物車だが、購入以降、カスタムする際のルール、毎年車検などで事あるごとに意識しつつ暮らしてきた。
そんなわけで「ランクル70=貨物車」(78プラドは除く)のイメージを持ってしまっていて、これは結構、意外な印象を持つウワサの一つ。
そこで、あらためて貨物車と乗用車、どんな違いがあるのか、少し調べてみた。(誤解などあればご指導ください)
貨物車とは
ランクル70は、元来、ワークホースとして生まれた故だと思うが、乗用車デフォルトのランクル200やプラドとは違い、ほぼ貨物車※がデフォルト。
とは言え、特に国内の再販ランクル70など、多くは乗用車的に使われているのではなかろうか?
それが、今度は乗用車のワゴンとして発売されるとしたら、それはどういうことなのか?
まずは、そもそも貨物車とはどういうものなのか調べてみた。
国土交通省自動車局長の依命通達(自車第452号 昭和35年9月6日)にその定義があり、以下が主な要件となる。
- 貨物の床面積が1㎡以上
- 貨物の積卸口の寸法が縦80cm×横80cm以上
- 乗車部分と貨物部分の間に適当な隔壁又は保護仕切等がある
(最大積載量500kg以下の自動車で乗車人員が座席の背あてで十分保護されている場合は不要)
そして「貨物車」には3種類ありナンバーは以下の通りとなる。
- 普通貨物車 1ナンバー
- 小型貨物車 4ナンバー
- 軽貨物車 4ナンバー
ランクル70のケースでみると、
再販ランクル70や、丸目ランクル70のオーバーフェンダー付き車の場合は「普通貨物車」で1ナンバー。
以下の条件を満たすことができるナローの丸目ランクル70は4ナンバー。(再販ランクル70の場合は、エンジンの排気量が4Lなので幅をどんなに狭くしても4ナンバーにはなれない。)
- 全長4.7m以下
- 全幅1.7m以下
- 全高2m以下
- ガソリン車の場合、排気量2L以下(ディーゼル車は制限無し)
貨物車のメリット(乗用車のデメリット)
貨物車は物を運ぶためのもの、乗用車は人を運ぶためのもの、という用途による分類なので、意図的に選択するのは本来おかしい。
しかし、貨物車登録のメリットがあるため、意図的に乗用車を貨物車登録するケースも実在する。
たとえば、乗用車(ワゴン)として購入されたランクル80、100、200などが、3列目のシートを外し、2列目シートを固定するなどの加工をしたうえで、貨物車登録(構造変更)されている。

税金
その最大のメリットは自動車に係る税が安いため維持コストが少ないといわれる点にあるだろう。
- エンジン:2.8Lクリーンディーゼル
- 車重:~2.5t
- 全幅:1.8m の場合
※エコカー減税はいまや大した額ではなく面倒なので無視。2022年1月調査時点。継続車検時の費用ベース。
税 | 1ナンバー(貨物) | 3ナンバー(乗用) |
自動車税 | 16,000円/年 | 51,000円/年 |
重量税 | 12,300円/年 | 20,500円/年 |
自賠責保険 | 19,120円/年 | 12,700円/年 |
合計 | 47,420円/年 | 84,200円/年 |
なるほど1ナンバー貨物のほうが、税負担は半分程度に抑えられるので、メリットといえそうだ。
外部突起規制などの規制除外
ほかには、乗用車に適用されて、貨物車に適用されない保安基準があったりする。
自分が知っているのは、いわゆる外部突起規制で、バックカメラやサイドカメラを車外に取り付ける際、乗用車の場合は細かい規制があるが、貨物車の場合はなかったりする。
このあたりの制度には疎いので、もしかすると制度変更で摘要になっていたりするかもしれない。
または他にも同様のケースがあるかもしれない。
あいまいな情報で申し訳ないが、必要な時に各自ご確認を。
貨物車のデメリット(乗用車のメリット)
では、メリットばかりかというと、そうでもない
自分が気が付くデメリットは以下のとおり。
毎年車検
まず大きいのは貨物車の場合は、車検が毎年車検になること。
新車購入後の初回こそ2年だが、2回目以降は毎年車検。
税金は上で年額で比較しているので、織り込み済みだが、車検関連費用(整備費用・検査手数料等)は増える。
ユーザー車検を活用して、ある程度の節約をすれば、完全にメリットを消失させるほどではないかもしれないが・・・
とはいえ、再再販されるランクル70を購入して、3年間も車検がない生活ってどんなだろ~、と思わせられるので、毎年車検という手間だけでも貨物のデメリットなのだろう。
高速料金
高速料金も1ナンバーのほうが乗用車より高い。
車種区分で「中型車」になるためだ。
以前調べたところでは、一般的な高速道路では乗用車より15~20%高くなり、首都高では5~6%高くなる。
したがってモーレツに高速道路を利用するユーザーは貨物車より乗用車のほうがメリットが多きくなる可能性がある。
なお、例外的に中型車で得したケースもあった。
それは2020東京オリンピック時、首都高にロードプライシング制度が導入された際。
貨物車はエッセンシャルなものということだと思うが、割増料金の対象外となり、一時的だが料金の逆転現象が生じた。
後部座席の座り心地ロス
貨物車の場合は、荷室が後部座席の移動等で狭くならないように、シートのリクライニング機能やスライド機能が制限されてしまう。
ピックアップのように、座席の後ろが硬い仕切り壁なら諦めもつく。
しかし、すぐ後ろに広い空間があるのに、スライドはもちろん、リクライニングもできないというのは、なんとも不便な感じがする。
3列シートなし
基本的にランクル70で、貨物車として必要な荷室を確保しようとすると、3列目シートを装着することはできない。
そのため、MAX5人乗りとなり、ファミリーユースで子供2人とおじいちゃん、おばあちゃんを乗せたいファミリー層などにとっては使い勝手の悪い車になってしまう。
まとめ
以上のように、貨物車、乗用車、それぞれにメリット・デメリットある。
やはり長く乗っていくことを考えると、貨物車の税金上のメリットはかなり大きい気もする。
しかし、再再販ランクル70の場合、仮にウサワどおりだとすると、ディーゼルエンジンで燃料が安く、かつ燃費も良くなる、でもアドブルーが必要、など考慮すべき要素が多くあり、少なくとも再販ランクル70との経済比較は簡単ではない。
今回、貨物車ではなく、乗用車として販売されるというウワサが本当だとして、その理由は分からないが・・・
個人的にはミニバン、プラドなど大きめSUVなどが人気の新車マーケットで戦うためには、大勢乗りたい子育て世代などにも訴求可能なモデルとして3列シートを装備したいのかな、と妄想したりはする。
また、乗用車なら初回車検が3年後となるため、車検を通さず乗り換える癖のある人が気楽に購入できるようになる可能性もある。
再販ランクル70を見てきた経験上、長く保有しない人ほど派手にカスタムを楽しむ傾向がある気がする。
そういう人がたくさん買ってくれれば、街中で多くのランクル70を見ることができるようになる。
更に、初回車検前に手放す人が多ければ、中古車市場に多くの、カスタム盛りだくさんのランクル70が出回り、少しお手頃価格で充実装備のランクル70に乗ることができるようになるかもしれない。
というわけで、乗用車だからダメとか、ランクル70たるもの貨物車じゃなければ、なんてどうでもいいことを言うつもりはない。
なんにせよ早くランクル70再再販のウワサが確定情報になり、新たなランクル70に出会う日が来ることを願うばかり。